国境なき古本屋 ブック・エデン「book-EDEN」 の BLOG

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| 2006.11.30 Thursday | | - | - |
●矢島文夫先生の摩訶不思議な本
私が店主の>生橋竜馬である、>「いくはしりょうま」という。国境なき古本屋―ブック・エデン「book-EDEN」という名前は、故矢島文夫先生からいただいた。先生は晩年の「押しかけられ先生」であり、よく店主の情けない話を聞いてくださり、「ネット古本屋をやろうと思うんですよ、それも世界中古本屋から大事な『古書』『写本』のような『稀稿本』だけを預かって、世界の架け橋となってですねえ...」と言い、「文字に関わった人間の義務ですね、『文字文化の継承』は」と言い放った。

実は実際に店を出す資力もない、しかも性格からしても三日とその店を続けることに自信がなかっただけのことなのだが。

それを宣言したのが去年のことで、店主は路頭に迷っている状態で、まあよくもそんな乱暴な話ができたものだ。「いいねえ、それを望んでたんだよ、そういうあっちこっちの本をつなげてね...」と仰った。言い表せないほど嬉しかったのだが、生意気な店主は「そうでしょ、そう思うでしょ、ねえ。」と答えた。
「名前はどうするの?」
「そうですねえ、どうしましょうかねえ、とその場で思いついたような名前を並べたら、あっさり「だめだね、それじゃ。ぼくが考えましょ。」とそれだけで決まったのである。

まだその古本屋は「開店準備中」のままである。当初、思っていた、世界中のちょっとだけの古本屋の「書」と店主のわずかばかりの「古本」では、あっさりと売れきってしまい、後が続かないことに恐れおののいたのである。
実はそんな「活況」はどこでもそうなのだが、呈することはないそうで、それでも「仕入れ」はしないといかず、その「原資」に詰まり、いまだ「準備中」なのだ。

ここに不思議な「ボール紙」の表紙の本がある。1952年発行、著者は「Rene LABAT」、書名は「MANUEL D'EPIGRAPHIE AKKADIENNE」という。1948年が初版なので、その再販なのだろうか。パリの「Imprimerie Nationale」が発行元である。
腑に落ちていないのが装丁、製本の仕方なのである。
確かに戦後間もない頃、それでも7年は経っているが、ヨーロッパも紙不足には深刻であったはずで、ボール紙の表紙に本文も悪いことは確かだ。
その製本なのだが、フランス綴じにはなっていない。背にクロスを貼り付けてあるのだが、それがどうも素人っぽいのである。

内容は素晴らしい。アッカド語を学びたい、という人間にとって、よだれが出る、はずの内容である。店主はこの書のコピーでアッカド語を学んだ。書き込むのに恐れたのである。
もともと店主はどんな本にも書き込む癖があり、本を読みながら著者と「対決」している錯覚に襲われることがあるほどだ。

書体は、今では「フォント」などと言うが、実は「書体」なのだ。筆記体の嫌いではない方の部類で、じっくりと読み込んでみたい衝動にかられる。「書物」はこうじゃなくっちゃいけない。
大量に表紙と本文がおんなじような、どこにでもある「本」に仕上げた段階で、既に「本」は売れない宿命を背負わされている。

トレジャー・ハンター書物ハンターの店主にとって、ここにあるこの一冊は至福の一冊なのである。こうした本作りをしてみたい、と思わず叫んでいた。

店主・生橋竜馬

| 2006.09.20 Wednesday | 22:22 | comments(0) | trackbacks(0) |
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